不動産投資とキャッシュフロー
不動産投資においてキャッシュフローを把握することはすることは、一般の企業経営と同様にとても重要なことです。
キャッシュフローの把握とは、事業活動を継続するための資金の流れ(一定期間の事業活動に伴う収入と支出の状況)を把握することを意味します。「利益」とは企業会計の処理上生まれた概念であり、実際の資金の流れの収支結果(余剰資金の額)を反映しているわけではありません。
ここでは、不動産投資でのキャッシュフローの把握についてのポイントを解説したいと思います。
利回りとキャッシュフロー
不動産投資での利回りとは、年間家賃収入から諸経費を差し引いた残額を投資価額(購入価額)で割り込んだ数字です。不動産投資での利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
- 表面利回り
- 実質利回り
同じく、満室を想定した年間家賃収入から諸費用(ランニングコスト)を控除した残額を投資額で割り込んだ数学で、当然ながら表面利回りよりは低くなります。
諸費用(ランニングコスト)に上げられる項目は次のような経費です。
1. 管理会社への管理委託料
2. 各種消耗品・通信費
3. 水道光熱費
4. 修繕費
5. 借入金利息
6. 租税公課(固定資産税、都市計画税) - 現行利回り
- キャッシュフロー
満室を想定した年間家賃収入を投資額で割り込んだ数学で、諸費用(各種のランニングコスト)は計算上、考慮しておりません。
どちらにしても年間家賃収入が満室を想定した場合には「想定の利回り」と思わなければなりません。
投資物件として売り出されている物件で表示されている利回りはほぼこのどちらかで、物件購入の際には現状の入居率を反映した「現行利回り」での利回りを確認すべきです。
これに対してキャッシュフローを中心に投資判断する考え方では、不動産を管理・運営した結果の収支計算についてその余剰額(手残り額)を意味します。
キャッシュフロー額=「税引き後利益」+「減価償却費」ー「借入返済金額」
要するに、投資対象が同じでも次の投資の際の条件が異なるとキャッシュフロー額が変わるということです。
1. 自己資金の金額
2. ローン期間の長短
3. ローン金利
4. 空室率
金融機関での融資では利回りよりキャッシュフロー額で審査すると言われています。
なお、「減価償却費」は、不動産など耐用年数に応じての毎年発生する資産価値の目減り分を支出として計上する考え方で、資産価値の目減り分を概念的に計上しているだけで実際の支払いが毎年発生するというわけではありません。