不動産投資・各論
不動産投資を始めるにしても、不動産には様々な種類があります。
建物の形態から分類すれば
- 区分所有建物
- 一棟建物
- 戸建ての建物
建物の用途から分類すれば
- 居住用建物
- 商業用店舗
- 事務所、オフィス
投資の形態から分類すれば
- 不動産投資信託
- 不動産ファンド
その他の不動産投資(新たに所有する目的)
- 駐車場、コインパーキング
- 介護施設
- 民泊施設
- コンビニエンスストア
- 沿道サービス用貸土地
また、購入する物件が新築か中古かによっても投資スタンスが変わります。
ここでは、最も需要のある区分所有建物(分譲マンション)、一棟建物(マンション、アパート)戸建て建物、REIT(リート)の4パターンについて解説してみたいと思います。
① 区分所有建物(分譲マンション、ワンルームマンション)
区分所有建物とは、簡単に言えば分譲マンションの一室を購入して賃貸に出すことを言います。
マンションには単身者用ワンルームタイプからファミリータイプまでさまざまな種類がありますが、どんなタイプであっても1室単位で投資をするのであれば区分マンション投資となります。
・区分マンション投資のメリット
1. 初期投資が高額にならない
2. 初心者が取り組みやすい
3. 随時、複数物件を所有することで分散投資になる
4. 比較的流動性が高く売却しやすい
5. 相続対策に役立つ(首都圏なら評価額は時価の1/3程度)
・区分マンション投資のデメリット
1. 資産の内容はほぼ建物のみになる
2. 新築物件の場合は売り出し価格が高くなる
3. 賃料水準の変動が大きい
4. 設備の更新等について管理組合の制約がある
5. 所有する戸数が少ないと空室リスクが高くなる
②1棟物件投資(マンション、アパート等の集合住宅)
土地・建物を1棟所有して各々の部屋を貸し出す最も標準的な不動産投資スタイル
・メリット
1. 土地・建物の完全所有で資産価値の担保力が強い
2. 中古物件でもオーナーチェンジなら直ちにキャッシュフローを得ることができる
3.賃貸水準か比較的安定している
4. 部屋数が増えれば相対的に空室リスクが減少する
5. 建物の改修、管理について所有者の自由度が高い
6. 新築の場合は特に節税対策、相続対策効果が高い
7. 所有者の意思のみで再築ができる
8. 小規模のアパート仕様なら初期投資が抑えられる
・デメリット
1. 物件自体の価格が高額になり(一棟億単位以上の場合もある)新規参入壁が高い
2. 当然、銀行融資もハードルが高く投資家が限定される
3. 新築の場合で土地から購入する際には利回りが低くなる
4. 中古の場合には初期投資は抑えられるが高額な修繕費が必要となることもある
5. 使用年数がある程度経過して残存耐用年数が少ないと長期的な節税効果に劣る
6. 流動性は低く換金に時間がかかる
7. ファミリータイプはワンルームの単身者用に比べて収益力が劣る
8. 運用管理について投資家、管理会社の力量でキャッシュフローの額に差が出る
③一戸建て
・メリット
1. ファミリー向けの一戸建ての物件は、車を必要とする郊外でも需要が高い
2. ファミリーであることから長期入居が期待できる
3. 築年数が経過しても賃貸水準が比較的低下しない
4. 比較的個数が少なく競争力が高い
5. 中古住宅を安価に(キャッシュで)購入できれば高利回りが期待できる
6. 条件の悪い土地でも戸建で有効活用ができる
・デメリット
1. 移動や転居の時期に募集のタイミングを逃せば長期間の空室リスクがある
2. 概して木造であるため定期的な修繕が欠かせない。
3. 外構、庭も含めて維持管理する必要がある
4. 隣接居住者間のトラブルリスクがある
5. 新築の場合は高利回りが期待でないので融資が困難な場合がある
6. 中古の場合はほぼ土地のみの担保評価になるので同様に融資が困難な場合がある
④ 不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)
REIT(リート)とは多くの投資家から集めた資金で、オフィスビル、マンション、商業施設、ホテルなどを購入して賃料収入や売買益を投資家に分配する金融商品で日本の「J-REIT」は保有資産を証券化して証券取引所に上場しています。
・REIT(リート)の仕組み
REIT運用する不動産投資法人が実質的な運用を行うことは法律で禁止されているため、資産運用会社と資産保管会社、事務受託会社に業務が委託されています。
1. 資産運用会社
投資する不動産の選定や賃貸運用の条件の決定、不動産の価値を維持するための修繕計画の立案、資金調達などを担います
2. 資産保管会社
保有している不動産の資産管理を行うもので、通常は信託銀行が資産保管会社の役割を担っています
3. 事務受託会社
会計や納税、投資法人債に関する事務を担っています
・REITの投資対象
1.オフィスビル
条件の良いオフィスビルは安定した収益を得られますが、テナントは企業がメインのため景気動向や業績の影響を受けやすいです。
2. マンション
賃貸マンションは景気の影響を受けにくく、安定した賃料収入を得られやすいですが、収益力はオフィスビルほど高くはないです。
3. ホテル
ホテルの稼働率に賃料収入が左右されやすいため景気の動向に左右されます
4. 商業施設
商業施設は、テナントの売り上げに賃料が連動する方式をとるケースが多く、テナントも入れ替わりやすいため景気動向の影響を受けやすいです
5. 倉庫
契約している企業の入れ替わりが少なく、比較的安定した収益を上げやすいです
・REIT(リート)のメリット
1. 小額の資金から資産運用を始められる
2. 不動産を実際に購入して所有する必要がない
3. 運用はプロが行うので手間がかからない
4. 流動性が高く、市場で売り買いしやすい
5. 一つの商品で複数の不動産に分散投資が可能
・REIT(リート)のデメリット
1. 実物不動産を所有できない
2. 投資法人が倒産した場合に価値が著しく損なわれる
3. 投資法人が上場廃止になった場合に価値が著しく損なわれる
4. レバレッジを効かせた投資がしにくい