空き家の処分
①空き家問題の意義
「空き家問題」は、総務省の最新の調査データ(総務省 平成30年住宅・土地統計調査)では、既存の住宅のうち空き家の割合は13.6%となり、問題が深刻化する様相をみせています。
戸数で言うと、全国の空き家数は過去10年で89万戸増え、846万戸となっています。
更に、2033年には全国の空き家数は1,955万戸、空き家率も現在の2倍の27.5%になるとの予測もあり、一般住宅の4戸に1戸が空き家となれば、
近隣の住宅街も空き家だらけという状況が現実のものとなるかもしれないのです。
この問題には、少子高齢化と人口減少という課題が大きく関係していると考えられます。
住宅市場は人口減少の影響を受けやすいため、地方都市ては不動産取引がなかなか成立しない状況も出てくる懸念があります。
「空き家」が目にみえて増え始めてきた今、土地や中古住宅などの資産価値にも影響を及ぼすことが予見されています。
『空き家の現状と課題(国土交通省)』https://www.mlit.go.jp/common/001125948.pdf
②空き家の問題点
空き家の一番の問題点は、管理されずに放置された住まいは地域社会にとって迷惑で危険な存在となる可能性があることです。
- 管理されない庭には雑草が茂り、害虫が増える。
- 木造の老朽化した建物にはシロアリが繁殖する。
- ゴミの不法投棄や出火などの防犯上のリスクが高まる
- 地震で倒壊すれば隣地に甚大な被害を及ぼす。
- 景観を著しく損なう
③ 「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家法)」
・空き家対策特別措置法
2015年2月に施行された法律のことで別名「空き家法」とも呼ばれています。
この法律が制定される以前は、各自治体の条例で各々対策が行われていましたが、実施は所有者にゆだねられていました。
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、管理が適切に行われていないと思われる空き家に対しては、調査を行ったのち問題があると判
断された空き家については「特定空家」として指定し、所有者に管理を行うよう指導をしたり、状況の改善を促したりできるようになりました。
空き家対策特別措置法では、管理がされていない空き家に対しては、自治体の職員やその委任した者が敷地内へ立ち入って調査ができます。また、所有者を確認するために住民票や戸籍、支払い義務者の名簿である固定資産税台帳より個人情報を確認できるようになりました。
・空き家の定義
「空家等対策の推進に関する特別措置法の2条1項」よると「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」と定められています。
年間を通して居住人がなく、水道や電気やガスの利用状態を含め、その建物が使用されていないことをもって判断されるということです。
・特定空き家
市区町村の職員等が立ち入りが行われ、空き家対策特別措置法に基づき、調査対象となる住宅が以下のような状態にあると判断された場合に「特定空き家」に指定されます。
1. 倒壊など著しく保安上危険となる恐れがある
2. 著しく衛生上有害となる恐れがある
3. 適切な管理がされていないことによって著しく景観を損なっている
4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
指定された場合には、勧告に留まらず、命令として指導が行われ、状況によっては過料や行政代執行が行われる場合もあります。
指導を受けた所有者は、助言や指導を受けた場合に空き家に対応する義務が生じ、すぐにその状況を改善しなければならなくなります。
改善がなければ、ペナルティーとして固定資産税の住宅用地特例から除外されることがあり、税金の負担が重くなります。
③空き家の解決方法
行政による空き家問題対策とは別に、民間でもさまざまな対策・取り組みが実施されています。
・「空き家バンク」
「空き家バンク」とは空き家の賃貸・売却を希望する所有者からの提供情報を集めて「借りたい・住みたい」と考える希望者とのマッチングを仲介する制度です。
空き家バンク総合情報ページ(国土交通省)href="https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
・「空き家活用」
近年、人気なのが自由度の高い「空き家活用」。
レストランやショップなど立地や建物の様式に合わせて柔軟に空き家を変身させられる「空き家活用」では、リフォーム、リノベーション、活用プラン、入居者募集などを一括して任せたうえで資産価値を高められることから、空き家所有者の間で注目を集めています。
空き家活用事例集(全国賃貸住宅経営者協会)https://www.chintai.or.jp/akiya/zirei.pdf