住宅ローンの選び方

住宅ローンはこのように選べば整理がつきやすいです。

①いくら借り入れるか?
②返済期間を何年にするか?
③変動金利にするか固定金利にするか?

以上の前提で、どの銀行のどのような住宅ローンを選ぶかを考えましょう 。


①いくら借り入れるかについて

これは目安になる月々の返済額から逆算できます(注1)。

仮に月々の返済額を10万円、借入期間35年、金利1・5%で計算すれば、借入額は約3260万円です。

借入期間35年は一般的な住宅ローンの最長期間です(注2)。

繰り上げ返済で完済期間を短縮したいなら返済原資を別途に考慮(積立て等)することになります。

この場合の金利1・5%は、変動金利・固定金利の区別なく、結果的に返済期間に適用されると見越される仮定の金利です。

変動金利の住宅ローンで将来金利が上昇したり、返済途中で借り換えなどをすれば、結果的に支払う金利の額は異なりますが、住宅ローンを選ぶ 際の資金計画では1・5%程度の金利を想定しておくほうが無難です(注3)。

ちなみに、0・8%(変動金利で固定期間が10年)の住宅ローンを選んだ場合には、月々の返済額が10万円で借入期間が同じ35年なら、借入額は約 3660万円となります(注4)。


②返済期間を何年にするか?

一般的には35年が最長とされていますが、最近は40年、50年の住宅ローンも散見されます。

過去の実績では実際の返済期間は25~30年が最も多いようです。

住宅ローンのリスク軽減は、繰り上げ返済によって元金を減らすのが一番有効な手立てと言えますので、実際の完済時期の目標と、返済原資の積立方法を計画することが大切と言えます。


③変動金利にするか全期間固定金利にするか?

将来の金利の動向を正しく予想するのはほぼ不可能です。

住宅ローンの貸付金利全般が低水準にあり、変動金利と固定金利との金利差がさほどない現在の情勢なら、生活設計のたてやすい全期間固定金利がよいでしょう。

但し、当初から借入額が少ない方や、10年程度の短期間に返済してしまいたい方は、金利がより低い変動金利で借入するのが有利です。


④どの銀行のどのような住宅ローン選ぶか?

先ず、どの金融機関にかかわらず、住宅ローンの種類は大まかに次の三種類です。

・変動金利
・固定金利
・フラット

住宅ローンの広告に3年固定型、5年固定型、10年固定型等の記載があってもそれらはすべて変動金利型の住宅ローンです。

一般的に金融機関の住宅ローンの主力は変動金利型の住宅ローンです。

全期間固定金利の住宅ローンは、金利の変動懸念を持ちたくない方、たちまち子供の教育資金等と相俟ってしっかりと資金計画をたてたい方などにおすすめします。

フラットは民間金融機関と住宅支援機構が提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。

どの住宅ローンを選ぶかはお客様の実情に添って選択することになりますが、選ぶポイントは金利だけでなく

・保証会社の信用保証料
・融資手数料
・団体信用生命保険加入の条件
・申し込みから融資実行までの手続きの流れ

等を総合的に勘案して決める必要があります。

同じカテゴリーの住宅ローンでも銀行によって取り扱いが異なりますので注意が必要です(注5)

次に、住宅ローンの取り扱いを行っている金融期間を整理してみましょう。

・都市銀行、信託銀行
・地方銀行(第一地方銀行、第二地方銀行)
・信用金庫
・ろうきん(労働金庫)
・農協
・ネット銀行(注6)

などですが、金融機関のカテゴリーが異なる と住宅ローンの性質(条件、手続き等)も異なってきますので、必要な場合にはファイナンシャル・プランナーに相談するのも良いかと思われれます。


※住宅ローンの選び方のポイントまとめ

①いくら借り入れるか?
②返済期間を何年にするか?
③変動金利にするか固定金利にするか?

(注1)住宅ローンの審査では、無理なく返済できる年収の確認として「返済比率」を使います。
返済比率とは「年収に占める年間返済額の割合」で「年間返済額÷年収」で計算され、金融機関によって見方は変わりますが、一般的には25~35%が基準と言われています。
この年間返済額を12で割った額が月払いの金額となります。

(注2)一般的に住宅ローンは、20歳~70歳までの年齢で申し込んで80歳までに完済することが条件となっています。

(注3)そもそも住宅ローンの金利はどのように決まるのか?
変動金利型の住宅ローンは、短期プライムレートをベースに各銀行が決定した基準金利から、住宅ローン借入の諸条件を満たしたお客様に対して、結果として優遇された適用金利によります。
一方で、固定金利型の住宅ローンの基準金利は長期金利である10年国債の金利をベースに決められます。

また、変動金利型の住宅ローンのうちの固定期間(3年、5年、10年)の金利は円金利のスワップレート(同一通貨の固定金利と変動金利を交換する市場)で決められます。
更に、実際に住宅ローン借入の際の金利の適用には、
・申込時の金利が適用される場合
・融資実行時の金利が適用される場合
・低い方を選択できる場合
があります。

特にフラットについては、住宅の完成引き渡しの時点での金利の適用(途中は窓口金融機関の繋ぎ融資)となりますので、途中で金利が変動することもあり得ます。

(注4)本文では月々の支払いについて適用金利で借入額を計算していますが、住宅ローンの審査では、適用金利には関係なく「審査金利(概ね4%程度)」を用いて借入上限額を決定している金融機関が多いです。

その理由、金利の上昇(変動金利の場合)や借入側の所得の低下等を見越して、住宅ローンのリスクに備えていると考えられます。

(注5)最終的には、銀行での審査と協議になります。

要するに、同じ銀行の同じ住宅ローンでも、借入を申込お客様によって借入条件が異なる結果になります。

審査の条件は、一般的には次のような事柄です。
・年間の所得(税込み)
・購入物件の担保評価額
・お客様の信用情報や属性(借入の有無、年齢、勤務先、家族構成等)

(注6)ネット銀行(ネットバンク)は無店舗オンラインで営業している銀行で、住宅ローンの取り扱いも行っています。

店舗の維持費や人件費等のコストカットで低金利で貸し出すことができるのが最大のメリットと言えます。

お客様目線でのデメリットととしては、

・原則非対面型の営業のためお客様が細かい相談をしずらいと感じる場合
・融資審査が画一的で厳しいと受け取られる場合。
・仮審査と本審理に結果的に解離(根拠不明のまま本審査で落とされる)が生ずる場合。
・建物請負契約の際に手続きが煩雑(繋ぎ融資等の段取り)等が上げられます。