請負契約のポイント
注文住宅購入をする際にはハウスメーカーや工務店などと「建築工事請負契約」を締結することになります。ここでは建築工事請負契約について事前に知っておきたい注意点やチェックポイントを解説致します。
①建築工事請負契約とは
契約書は次のように構成されている図書です
- 「建築工事請負契約書」
- 「建築工事請負契約約款」
- 「設計図書(設計図面等)」
- 「工事費見積書」
更に、建築工事請負契約には
- 発注者氏名
- 請負者氏名
- 工事内容
- 請負代金の額
- 支払方法
- 工事着手の時期
- 工事完了の時期
- 完成引き渡しの時期等
が記載されています。
②契約書のチェックポイント
「追加工事」や「別途工事」
契約を結んだ後は、契約書に書かれていること以外の工事については追加の費用が発生するので、しっかりと工事内容を把握しておきましょう。
工事スケジュール
1.工事に着手する「着工日」、建物が完成する「完成日」、完成した建物が施主に引き渡される日「引渡し日」等の工事のスケジュール
2.工事スケジュールを裏付ける具体的な工程表
3.工事が大幅に遅れた場合の措置(遅延金、違約金の発生の有無)
代金の支払時期と金額
概ね、次のパターンが多いようです。
1.契約時に代金の10%、
2.着工時に30%、
3.上棟時に30%
4.建物の引渡し時に30%
住宅ローンでつなぎ融資を利用する場合には、銀行と工事請負会社と協議して支払のタイミングと金額を確認しておきましょう。
ローン特約
ローン特約は金融機関へのローンの借入申請が全額または一部承認されなかった場合に契約解除することができ、着手金からそれまでにかかった費用を除いた金額(又は全額)が施主に返却されます。
特に、建築会社の提携金融機関のローンを利用する場合は契約書にローン特約を盛り込んでもらう必要があります。
キャンセルの際の違約金
建築工事請負契約締結後のキャンセルは、施主側が損害を賠償して契約を解除することになります。
着手前の違約金の金額は建築費の10%程度が目安ですが、工事着工後のキャンセルはそれまでにかかった建築費を施主側が負担することになりますので、契約書の約款の記載を確認しておきましょう。
保証やメンテナンス
引き渡し後に不具合が発生した際の補償内容についても確認が必要です。
注文住宅の保証はハウスメーカーや工務店などの施工側が最低10年の瑕疵担保責任をつけることが義務付けられていますが(住宅瑕疵担保履行法)保証の範囲が必ずしも十分ではない場合を考慮して瑕疵担保の保証内容と範囲、保証範囲外のメンテナンスを受けられる期間等について確認しておく必要があります。
見積もりとプラン変更
契約後の施主からの設計変更や仕様の変更は追加コストが発生したり当初の予算を超過したり、またそれによって建築確認申請の変更が発生して工事が遅れたりする可能性があります。
従って、契約までに構造にかかわる間取り、設備の仕様等は固めておきたいです。
特に、見積書と図面との内容が一致しているかのチェックは重要です。
③その他の契約内容のチェックポイント
- 建物の完成引き渡しが遅延した場合の取扱い
- 自然災害等の不可抗力によって発生した損害や工事の遅延についての取扱い
- 工事によって第三者に損害を与えた場合の取扱い
- 契約内容と違った工事や不具合(契約不適合責任)についてと取扱い
- 工事内容と見積書の一致と見積もりの総額との一致
- 「一式見積り」の記載項目の工事内容の確認
- 契約締結後の「追加工事」や「別途工事」のと取扱い
- 建設物価高騰による請負金額変更に関する取扱い